創業する際、人は自信に満ち溢れていることでしょう。
「ご自身の技術や思いを広く知って欲しい。きっと喜ばれるはずだ!」そんな強い思いがあるからこそ、創業に至るわけです。
しかし、情熱だけでは上手くはいきません。成功のためには、事業計画が必要です。
短期で廃業とならないよう、そして、長く必要とされる事業となるためにどのような計画書とすればいいのか、中小企業診断士 穴井勇二がご説明いたします。
事業計画を立てるためには、利益、経費、売上等、様々な数字を見ていきます。
“数字“とは言いますが、経理や簿記とは異なります。
経理や簿記は、見直しの数字。”過去“をしっかりと見つめるためのものです。
一方、事業計画においては”未来“を見つめるための数字。事業をどう展開していきたいのか、未来予想図とも言えるかもしれません。
セミナーでは、「どうやって利益を出すのか?」や「売り上げはどう作っていくのか?」について、お話しています。
例えば、事業計画書からは以下のような事柄が読み取れます。
・どのような目標を掲げているのか
・どこまでの想定をしているのか
・いくらの利益を見積もっているのか
つまり、事業計画書を見ることで、『健全な経営ができる企業なのか?』を判断できるわけです。
そのため、金融機関から融資を受ける際や補助金の申請をする時など、様々なシーンにおいて求められる書類となります。
他、運営においても、従業員に”経営者の思い“や”方向性“を示すために提示する材料としても使えますし、創業する段階においては、”ご自身の想定に無理は無いか“や”実現可能な想定か“等、経営の在り方を見定めるためにも必要不可欠な書類と言えるでしょう。
事業計画書とは、企業の方向を示すもの。そのため、経営者でなければ作成することはできません。経営者からもう少し広げるとすれば、”右腕“と呼ばれる、経営の中枢を担う者まで、となるでしょう。
つまり、数字に強いからという理由で経理に頼む、というようなことはできないということです。
というのも、事業計画書を作るためには、ビジョンが必要であるためです。
進む先を具体的にイメージした上で、そこまでのルートをどう選ぶのか。それが分かっていないと、事業計画書を作ることはできません。
「数字が苦手な私に、事業計画書なんて作ることができるのか?」と不安を感じる創業者様もおられます。
でも、ここは踏ん張りどころ。セミナーにて、しっかりとサポート致します。あなたの熱い思いを、分かりやすく、数字で表していく術を身につけましょう。
セミナーにおいて、私が「どのくらい儲けたいと考えていますか?」と問うと、スムーズに答えられる方はあまりいない印象です。
多い回答例は、「稼げるなら、稼げるだけ」というガッツリタイプや、「どうにかやっていければ、それでいい」といった控えめタイプのどちらか。
実はこの回答、どちらも大変問題ありの状態です。
一見すると、ガッツリタイプだと意欲的に感じられますし、控えめタイプだと思慮深く、どちらも問題のない発言に感じられます。
しかし、実体はどうでしょうか。
「稼げるだけ」というのはあまりに適当です。ビジョンが一切見えていない、ということにもなるでしょう。
つまりガッツリタイプは、『利益の価値を正当に評価することができない』ことと同義で、資産を無駄にしてしまう行動にも繋がりかねません。
一方、「どうにかやっていけるだけ」という控えめタイプの方はどうでしょうか。
このような考え方が問題である点は、商売の面白味を理解することができない、ということ。
というのも商売は、利益を出すからこそ高みを目指せるのです。そしてその高みから得られる物が、お客様にも還元されていくわけですから、ボランティアのようにギリギリで経営していては、お客様満足度の低下に繋がりかねない状態だと言えます。
そこでセミナーでは、実現可能性のある目標の立て方についてお話をしています。
まず、いくらあれば自分が生活できるのかを考えます。自分への給料というイメージですね。それが、利益となります。
次に、経費を算出します。店舗の賃料や水道光熱費、スタッフの人件費など、必要となる費用を出していきましょう。
このふたつ、利益と費用を合計したものが、売上となるわけです。
そして、目標となる売上額が分かれば、次に、達成するためのテクニックを考えていきます。
例えば飲食店の場合、売上を達成するためには、商品を何食提供しなければいけないかが見えてきます。そして、席数や回転率を鑑みて、おおよその客単価を知り、それを目指していけば、とても分かりやすいですよね。
創業前の段階では、まだよく分からない部分も多いものですが、このようなことを積み重ねていくのだと事前に知っておくことがとても大事です。
場数を踏めば、自ずとバランスが取れるようになってくるでしょう。
そのためにも、参加された方には『知っておいて欲しい部分』を強くお伝えし、今後の糧として頂けるセミナーとしています。
事業を展開する上で、お金を借りるというのはよくあること。決して悪いことではありません。
例えば、作業工程を機械化する場合や、昨今だとDX化のために資金が必要となることもあるでしょう。そのための資金を借り入れ、機械化やDX化を実施し、事業の運営が以前にも増してスムーズになったとすれば、これはとても素晴らしいこと。事業の継続性という点においても効果的だと言えますし、正しいイメージの元で使われた借入金だと言えます。
では、以下のパターンによる借り入れだとどうでしょうか。
当面の資金が100万円足りない。でも、もしかしたらもう少し不足するかもしれないから、念のため150万円借りておこう。
その後、事業が軌道に乗り、借り入れていた150万円を返済した。
というケースです。
結果的に返済できていますから、問題は無いと感じられるかもしれません。
しかしこれは、間違ったイメージと言わざるを得ません。
というのも借入金とは、そんなざっくりとした計算で借りるものではないからです。
借り入れをする際には、自己資金がいくらあって、いくらで申し込むのか、正確に考える必要があります。
必要な金額だけを借りるのであって、借り過ぎてはいけません。
ひいては、何が必要で何が不要か、分かっているということ。
ここが不安定だと、倒産にだって繋がりかねないのです。
借入金は決して悪いものではありません。
『借りる際は、返すための事業計画を作り、返せるだけのものを借りて、しっかりと計画的に返済を行う』というイメージをしっかりと持っておきましょう。
創業者に必要なことは、夢と目標を持ち、数字を組み立てていく力です。
この3つが揃うことで、事業計画が立てられるようになります。
事業計画書の作成は、作業工程としては少々面倒なものかもしれません。
しかし、一度作ってしまえば、それに沿って日々の業務を遂行すればよく、結果的には働きやすさを感じることができるかと思います。
そして、日々の業務の中で「目標に無理がある」と感じれば、その都度、単価の改定や仕入れ先の変更、固定費の見直しなど、事業計画書の変更を行っていくといいでしょう。
一度作り上げた事業計画書を土台として実行し、検討を行い、必要に応じて修正をしていくことで、より現実を見据えた、実現可能性のある良い計画書へと、どんどん成長していくのです。
数字は苦手と感じている方も、少しだけ、頑張ってみて欲しいと思います。
長く、熱く、根拠のない話をするよりも、事業計画書に沿って、簡潔に話すことの方が、相手を納得させる力を持ちます。
本セミナーでは、数字が苦手な方でも分かるよう順を追い、事業計画の作成に必要な数値の考え方や作り方を学びます。
最終的には、どなたでも計画書の作成ができるようになるセミナーです。
コンサルタントからの一言