【家具製造業】VRを活用した革新的な家具販売サービスの構築

2020.04.02

1950年に創業し、年間売上6,000万円の家具製造業。
主な取引先は、学校、保育園、図書館、ホテル等の企業。一つ一つの家具を、家具職人が最初から最後まで担当する自社一貫製造を行っているため、高品質の家具を製作できることが強みですが、既製品等に用いられるライン生産方式に比べて生産効率が悪く製作に日程がかかるという弱みがあります。
近年BtoB事業のさらなる競争の激化を見越して新事業の立ち上げを計画しています。

【家具製造業】VRを活用した革新的な家具販売サービスの構築

BtoB事業からの脱却をして商品単価を上げたい!

設計や製作に時間がかかるオーダーメイド家具の原価率の低さが課題だった。

オーナー様の、主な取引先は、対企業が中心でBtoB事業が売上の大半をを占めていますが、近年の競合他社の進出、需要の減少などの影響を考慮し、新たに一般消費者を対象にしたオーダーメイド家具の製造を行っています。

オーダーメイド家具は、色などを指定した作りで、かつ、高品質の家具を製作することができますが、既製品等に用いられるライン生産方式に比べて生産効率が悪く製作に日程がかかるという弱みがあります。

このような理由から、生産効率をより向上させなければならいという課題がありました。

現状 創業30年以上経過している老舗企業。
オーダーメイド家具の原価率が約30%以上と業界水準より高い。
生産工程をすべて手作業で行っているため、効率の悪い箇所がある。
業種 ■家具製造
大半の売上は企業が中心。家具の製造は一貫して手作業で行っている。
年商 約6,000万円
企業規模 従業員4名

一般消費者向けのVR技術を用いた住宅家具提案サービスと製造工程の自動化

提案した事業は、工務店と家具店が一体となって進める事業です。

工務店の顧客は建物の完成前にVRを使った内覧ができ、顧客に建物に係る建具の確認、設備の詳細等様々な確認ができるメリットがあります。

家具だけでなく建物外観と内観を含めて、提携した建築3Dモデリング制作会社が工務店の建物設計図面からVR映像を作成し、工務店はそのVR映像を元に顧客にプレゼンテーションを実施します。

新サービスは顧客がそのVR映像を見ながら家具の長さや形を決めていくというものです。

【手法】生産工程の見直しと共に、自動切削加工機を導入

新サービスは顧客がVR映像を見ながら家具の長さや形を決めてオーダーメイドするものですが、その都度、家具の設計図を新たに作成するのではなく、オーナー様があらかじめ家具3Dモデルを作成しておくことで、設計工程を、CAD上での長さや形等の編集・調整にとどめ、大幅に設計時間を減少させることに成功しました。加工工程の改善に関しては、NCルーターの導入を行うことで生産性の向上による利益率の改善を図りました。

このNCルーターは、その設計図を元に加工工程の短縮を最大化するために必要で、数値制御により正確に切削加工ができる加工機になります。

目新しいサービスと言う側面はありますが、最大のメリットは、製造工程(設計工程と加工工程)の効率化です。

顧客と工務店によって設計工程が完了するため、今まで時間を使っていた工程が省略できるという点と、自動切削機の導入による加工工程の効率化が図れました。

【効果】家具製造に係る平均製作時間が約40%向上した

今までは、新事業ということで、なかなか効率化が難しいオーダーメイドという分野を取り扱うことになり、生産効率の向上が命題となっていました。新しい事業を行うことに関しては、それに係る労力はもちろん資金なども必要となりますが、これらの課題を乗り越えるための制度の活用やアイディアの創出に関してお手伝いをさせていただきました。

コンサルタントからの一言

老舗家具店の強みである高品質の家具のクオリティは落とさないまま、新しい時代への対応や製作工程の効率化について提案させていただきました。

VRを使った家具の提案はある側面で見ると突拍子のないような提案かもしれませんが、近年既製品の販売を中心とした家具業界では広く取り入れられており、この手法をオーダーメイド家具にも取り入れることができるのではないかということを何度も話し合い計画を立てていきました。