【補助金事例】ものづくり補助金で事業拡大が実現!新たな顧客への提案へ

2024.06.21

福岡県にある株式会社アスリンクは、税務、法務、労務、販促など各分野のスペシャリストが集まったコンサルティング集団です。
経営にかかわるあらゆること、経営改善やマーケティング、IT・DX戦略などのコンサルティングサービスを提供しています。
本日は、補助金の事例として、約90年続けられている老舗の家具製造会社様が申請されたものづくり補助金について話を聞きました。


【補助金事例】ものづくり補助金で事業拡大が実現!新たな顧客への提案へ

ご支援された会社はどんな会社ですか?

株式会社アスリンクの池田と申します。司法書士をしております。アスリンクにおいて、主に法務や補助金関係を担当しています 。

今回ご紹介の企業は老舗の家具製造会社で、90年程の歴史をお持ちです。
職人さんも、長きに渡って勤務されているという状況です。

どのようなご相談内容でしたか?

この企業は、受注数の内90%を占める主な取引先が、学校や市役所などの官公庁となっておりました。「官公庁の仕様に沿って家具を作る」というのは非常に難易度の高いものとなるのですが、熟練の職人さんが何人もおられることで対応ができており、そこが企業の大きな強みとも言えました。
しかし、人件費の高騰により原価が圧迫する状況となっておられまして、生産効率を上げるためにはどうしたらいいかというご相談を受けた次第です。

何の補助金をご提案されましたか?

ご提案したのは、「ものづくり補助金」です。これは、業務を効率化するための機械導入等に使える補助金です。
この補助金を活用し、生産効率を上げるための方法をご提案いたしました。

補助金を使って具体的に何をしましたか?

ご相談内容は、「生産効率が悪い」というお話でした。そこでまずは、「なぜ、効率が悪いのか」そして「どの工程が悪くしているのか」という部分を知る必要があります。でないと、どういう機械を入れるのか等も分かりません。
まずは製造工程を全てお伺いし、内容を深掘りするところから始めました。

問題点の把握

家具の製造は、非常に面白いものです。
工程は大まかに4つの工程となっていることが分かりました。

まずは「設計」。
次に「加工」。
そして「組立」。
最後に「仕上げ」となります。
これで4工程ですね。この中で、職人さんを必要とする工程は3つ。設計以降の部分です。
というのも、1つ目の「設計」については設計図となりますので、職人さんではない他の方が担当します。
よって、設計後の「加工」「組立」「仕上げ」の工程について、職人さんがすべてを担うという状況でした。
ここまでお話を伺い、私は、おそらくこの3つの工程の中のどこかに、効率の悪い部分があるのだろうと仮定し、それぞれについて深掘りをすることとしました。

まず、「加工」について。これは、家具を切ったり、形を整えたりすることを言います。
そして「組立」。木材同士の組み立てや、接着をする工程です。
最後は、「仕上げ」。ヤスリをかけるなど、細かな部分の調整を行う工程となります。
この中で熟練の技術を要するのは、「組立」と「仕上げ」の工程です。
というのも、「組立」と「仕上げ」については、10人の家具職人がいたら10人それぞれのやり方があるんですね。木材同士を繋ぎ合わせる際に、どのくらい間を開けるのか等といった細かい部分が職人によって異なります。その微妙な差こそが職人技であり、統一できない、してはいけない部分となります。
では、先ほど上がらなかった「加工」の工程。ここにはなぜ、熟練の技術が不要なのかと言うと、ここは設計図通りであることが求められるからです。例えば、切り抜くという作業において一人ひとりが勝手なことをしてしまうと、次の工程である組立ができなくなってしまいます。つまり「加工」においては、画一化されていなければならないわけです。そうなると、熟練の技術、いわゆる職人の手は不要ですよね。
にも関わらず、ずっと、職人による手作業が行われていました。
これは、あまりにもったいない。
「技術力を必要としない工程においては効率化してもいいのではないか」ということで、機械を導入し、自動的に加工できる仕組み作りをご提案させていただきました。

結果、家具を加工する機械としてNCルーターを導入。
「加工」の工程は機械化することに決まりました。

補助金を使う中で池田さんはどんな役割でしたか?

先ほど話した内容については、実は、事業者様がご自身で分かっている内容です。
しかし、分かっているにも関わらず、整理ができずにいて、どう解決したらいいのかが分からないのです。
そこに、家具のことを全く知らない素人の私が登場すると、製造工程やその中身、技術について等、あれこれとお聞きすることになりますよね。そして、質問と回答が繰り返され、話がどんどん広がっていきます。その先に、今回のような解決策が結び付いてくるのだと言えます。
つまり、今回の工程については、あくまでも社長ご自身が考えたこと。私は、その回答を引き出す役目を担ったということになります。

そしてもう一点。 最初にお伝えしたように、この会社は、受注数の90%以上が官公庁からのお仕事となっています。しかし実は、一般消費者や、居酒屋、飲食店といった企業からのお仕事もしていきたいとお考えでした。官公庁の事業以外にも手を広げたいという希望があったんですね。
今回、そのお手伝いもさせて頂きました。

問題の解決と、より良くするための提案

例えば、飲食店をオープンするにあたり、オーナー様から「こういう内装にしたい。こんな家具を入れたい」というご希望が出てきます。しかし、発注段階においては、どういう風に仕上がるのかは分かりません。
しかし、3Dモデリングという技術を使えば、どう内装が仕上がるのか、家具はどうなるのかを事前に知ることができます。また、3Dモデリングから寸法を抜き出し、家具を作ることもできるのです。その上、このようなサービスは、まだ他の企業では行っていません。
これは、非常に使えるツールですので、お勧めですというお話と共にご提案をさせて頂き、新たに採用となり、「3Dモデリングによる家具製造事業」も実行に移すことができました。

その後はどうなりましたか?

この補助金を受け取ったのは、コロナ前のことです。
ほどなくコロナウイルスが蔓延し、密を回避する状況が非常に長らく続くことになりました。
しかしこの企業においては、予め機械を入れていたことで一部の工程を自動化できていたため、「人は、本当に力を入れるべきところに注力する」という密を回避した事業活動ができていたと聞いております。
機械を導入し、単に生産効率が上がっただけでなく、効率のいい人員配置ができるようになったというメリットもあったわけです。

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