中小企業においては、経営者の多くが高齢者となっています。そこに、昨今の人材不足が相まって事業承継がうまく進まないことも多く、廃業に追い込まれる企業は少なくありません。
経済産業省の発表によると、2021年上半期において、後継者不足を起因とする倒産件数が過去最高を記録しているのです。
廃業の怖さは、そこに働く者の失業や生活困窮だけに留まりません。
企業の保有していた独自の技術やノウハウが永遠に失われてしまうことも大きな問題であり、懸念されています。
帝国データバンクの調査によると、国内企業の3社に2社は後継者がおらず、さらには、年商1億円未満の企業の実に76%において、後継者不在という結果が出ています。
このように、データからも明らかになった多くの日本企業が抱える後継者問題。
今回は、後継者及び事業承継をテーマに、ご説明したいと思います。
親族内承継が抱える問題の多くは、以下の2点。
・後継者が育っていない
・後継者が不存在
さらには、その状況について問題意識を持っているにも関わらず、他者へ話す(相談する)ことについて消極的となる傾向が多くの場合に見られており、それが、より問題を大きくしていると言えるでしょう。メインバンクである金融機関はもちろんのこと、取引先や従業員にも事業承継についての具体的な話ができず、そのまま時が経ってしまうということも少なくないのです。
また、承継の是非について、現経営者と後継者で感情のぶつかり合いとなることも多々見受けられます。そうなると、企業でありながら家族内の問題ともなるわけで、より外部機関等へ相談し辛い状況となってしまうのです。
このように、金銭のみならず、金銭以外の部分について、親子間・親戚間同士の”感情”という要素が深く絡んでしまうため、親族内承継の障害は、時として大きなものとなる場合があるのです。
親族内承継の問題に直面したときは、事業承継問題に直面している当事者が、勇気を持って外部機関等に相談することが重要です。そして、具体的な事業承継対策を行っていかなければなりません。
上項で記載した通り、多くの中小企業がこのような事業承継問題に直面しているわけですから、同業種の交流会や友人企業などで事業承継に関する話題を持ち出せば、問題解決の糸口がもたらされる可能性もあるのです。
だからこそ、”問題意識を持ち、他者へ話す(相談する)こと”が重要なのです。
大事なことは、自社の事業承継問題に消極的にならないこと。
問題を解決しようとする姿勢が自ずと解決を引き寄せることを念頭におき、行動していきましょう。
後継者不足の解決方法は、親族内承継にこだわらないのであれば、実は様々あります。
例えば、後継者を募集するマッチングサイトを活用したり、M&Aを得意とする専門家への一任や、外部から適任者を登用するといった方法もいいかと思います。
お困りであり、あまり時間が無い場合であれば、親族内承継から一旦離れ、幅広い視野で眺めてみるのもひとつの方法です。
また、時間があるようでしたら、事業に携わっておらずとも、引き受けてくれる可能性のある親族に声をかけ、一から後継者候補として教育をしてくという方法も選べます。
思い悩んでいても、解決策をは見出せません。
事業承継問題についてのお悩みは一人で抱えないこと。
これが、一番の近道だと言えるでしょう。まずは誰かにご相談を。
コンサルタントからの一言