現場の声に沿った実現性の高い事業計画書が、補助金へ繋ぐ

2023.06.27

現場の声に沿った実現性の高い事業計画書が、補助金へ繋ぐ

『DXシステム導入×補助金申請』について、司法書士の池田龍太さんにお話を伺いました。

今回お話頂ける補助金申請について、その概要を教えてください。

対象企業は、LPガスの販売事業者様です。
業務内容のひとつに『ガス使用料の把握』がありますが、補助金を活用し、その業務のスマート化を目指すこととしました。

 

その為に導入するのは『LPガス総合管理システム(LPWA)』です。
まず、各戸に設置されたガスメーターにLPWAを使った無線機を取り付け、lot化を図ります。これにより、遠隔検針が行えるようになりますから、結果的に、24時間の常時遠隔監視が叶うこととなります。
また、この装置が保安高度化にも役立てられるため、安心安全に繋げていくことも可能です。

 

LPガス事業の業務効率化やスマート保安は、経済産業省が推奨している事案です。このような分野に切り込んでいくことで、補助金の採択率は上がって参りますし、従業員の負担軽減にもつながる変化であり、従業員からの積極的な協力も得られるものと考えます。

ガスメーターの24時間遠隔監視システムは、珍しいものなのですか。

実は、都市ガスや電気などでは一般的になっており、珍しいものではありません。このようなシステムをスマートメーター化とも言いますが、全国での普及率は9割とも言われています。

 

しかしながら、LPガス事業においては、まだまだ一般的なものとは言えません。というのも、LPガスの事業所は地域密着型で小規模である場合がほとんど。今回のように補助金を得ることなく、自力でスマートメーター化することは大変難しいと言えます。

とはいえ本来は、このような小規模な事業所にこそ、スマートメーターは早急に導入されるべきシステムだと思っています。
小規模ということは従業員の人数も限られているということですから、人手を割かずに対応できる作業を作り出すことは、その人員を他の作業に回せるということであり、事業所全体に多大なメリットを生み出すことにも繋がるからです。

これは、あらゆるDX化において言えることですね。
中小企業や個人事業主など、従業員数の少ない企業にこそ、DX化の恩恵を早くお届けしたいと思っています。

スマートメーター化で得られる恩恵について教えてください。

例えばこちらの事業所の場合、200か所ほどのLPガスご利用者様を抱えておられるのですが、毎月、検針業務のため、直接職員が赴いている状況でした。
また、LPガス特有の事象として、「減っているから、即、新しいLPガスを発送する」という対応には至らないという特徴があります。というのも本事業所は販売会社であり、配送は他社となるため、手配から配送までに約1か月の日数を要することを勘案しながら、職員の経験則に基づいて、手配のタイミングを算出する作業が求められていることによります。ここで困るのが、他の職員が代行できない替えの効かない業務になってしまうことです。
「確実に、毎月の一定期間、固定人員の業務が発生する」ことは、あまり好ましくありません。

 

そこで登場するのが、スマートメーター化です。
メーターに装置を付けることで、常に検針が行われている状態となります。また、ある一定の残量になればアラートが鳴り、自動的に配送業者への連絡まで行えるシステムとしましたので、発注業務も自動化。職員の手間や時間が大幅に削減できることとなりました。
今まで検針に携わっていた人材は、他の部門への配置転換が叶い、有意義な人材活用ができていると大変喜んで頂けました。

スマートメーターには、他にも活用法があるのでしょうか。

販売会社の役割として、24時間体制で行う保安業務があります。利用者から電話があれば、すぐに対応が必要となる部署なのですが、その業務においても、スマートメーターは大きな活躍を見せています。

 

寄せられるトラブルの中で格段に多いのが、「安全装置の解除」。地震などにより不具合を感知すると、ガスボンベに備わった安全装置が作動してロック状態となり、ガスの供給を遮断するという、ガス漏れを防ぐための装置です。
しかし実は、コンロや給湯器の不具合でも作動してしまうため、ロック解除の対応がかなり多い状況となっているのです。

とはいえ、作動してしまった以上、調査は必要です。安全装置解除の依頼が入れば職員が現地に赴き、安全確認の上、解除を行うというのが、スマートメーター設置前の作業となっていました。
しかしLPWA導入後は、安全確認もロックの解除も遠隔で行えるようになりましたので、ご依頼から開栓までスムーズ且つスピーディになっています。

 

リアルタイムな保安システムの構築は、職員の手間が削減できるだけでなく、お客様にとってもスムーズなガス使用に繋がり、大変喜ばれていると伺っています。

補助金申請までの工程と、大事にされていることを教えてください。

補助金の申請は、以下の流れで行っています。

 

① 事前ヒアリング(補助金要件の確認含む)
② 見積書の確認
③ 事業内容詳細ヒアリング
④ 申請書作成サポート

 

ここからも分かるように、「ヒアリング」を重視しています。
様々な情報を収集するためにヒアリングを行いますが、大切なことは、一部ではなく、あらゆる部署へ行うこと。そうすることで、企業が本当に求めるDX化を知ることができます。これにより、事実をしっかりと踏まえた事業計画となるわけです。

 

例えば今回の場合においては、「検針の頻度」と「オートロックだった場合の手間と難しさ」について伺えたことが、スマートメーター実現によるメリットの訴求力に繋がったと考えます。

 

実現可能性の向上が、社員に喜ばれ、賛同の得られる提案に繋がります。そしてそれは同時に、補助金の採択を引き寄せることにもなります。
私が常に意識していることは、「社長が思い描いている内容を超える計画書とする」こと。すべてのDX化においてこれは、非常に大事なことだと考えています。

DX化を考えている方へ、ひとことお願いします。

事業によっては、何もしなければ衰退していきかねない、そんな状態にあることも少なくありません。
「今はまだ大丈夫だから」と考えるより、「今なにをすれば将来まで続くのか」を考えてみませんか。そしてその答えが、DX化にあると私は考えています。

 

・難しいことは苦手

・人手が足りない

・時間がない

 

そんな悩みを抱えている事業者にこそ、DX化が必要です。
DXは決して難しくはありません。ぜひ一緒に考えていきましょう。

編集後記

補助金を得て、中小企業や個人事業主におけるDX化を応援する池田さんにお話を伺いました。
「DX」を取り入れることにより、社員を増やすことなく新規事業へ目を向けられたり、社員の働き方改革が叶うなど、とても大きなメリットが得られることを知りました。
働きやすさ、暮らしやすさを支えるDX。今後も注目していきたいと思います。

コンサルタントからの一言

企業の一員ではない、第三者の立場だからこそ、得られる視点があると感じます。違う方向から、俯瞰的に見ることで出せるアイデアを、経営計画や事業計画に盛り込んで参ります。