過去、海外市場の情報はクローズドで、参入はとても難しいものでした。知っている人だけの強みとなっていたのです。
しかし今では、政府が一体となって進める海外市場戦略があり、サポートも充実しています。相手国との協議も進められ、ルールがより明確化。多くの事業者様にとってチャンスが到来していると言えるでしょう。
海外進出に挑む際、どこに注目したらいいのか。中小企業診断士の川瀬健誠がご説明いたします。
日本の食文化は、世界に誇る文化遺産。ユネスコ無形文化遺産として登録されています。
また、JETRO(日本貿易振興機構調査)が行った2014年3月の調査によると、日本料理は、外国人の好きな料理の第1位にも選ばれました。
これらのことから分かるのは、「日本食」は多くの国から好まれているということ。
つまり、日本の食品は、海外展開に向いていると言えるのです。食品製造業においてこのチャンス、逃す手はありません。
知識を身に着け、競争力を得た上で、ぜひ海外輸出に目を向けて欲しいと思います。
輸出にチャレンジするということは、ブラッシュアップされた商品を、日本で再び展開する機会も得るということ。
結果的に、複数のパターンのチャンスを手に入れることに繋がってくるのです。
食品製造事業者であれば、お手元に、今すぐにでも出荷可能な商品がいくつかあることと思います。その中より、自信作を選りすぐれば、すぐにでも世界市場に挑むことができるか問われると、その答えは「NO」です。
日本で展開しているそのままの状態で、世界に食品を持ち込むことはほぼ不可能です。
それは、なぜなのでしょうか。
まず第一に、規制の問題があります。
国ごとに添加物や製造時の規制がありますから、それをクリアしなければいけません。
つまりこれは、輸出先が一か国である場合には一つのパターンに対応すればいいのですが、異なる複数の国への輸出を考えている場合には、複数回求められるということ。国の数だけ、調査と改良が必要だということになります。
次に、『HACCP(ハサップ)』と呼ばれる衛生管理のための国際基準に則ることも必要です。
HACCPに則るということは、食品の中に潜む危害や要因を科学的に分析し、それを除去、もしくは安全な範囲まで低減するための工程を常時管理し、記録するということ。手間だけでなく、時間や費用もかかってくることになるでしょう。
そのため、日本ではほとんどの企業がまだ取り入れていない状況です。
本来であれば、東京オリンピックの開催に備え、多くの企業が目を向けるべき案件となっていました。しかしコロナにより、海外からの招致が無くなり、結果的に今もなお、取り組み企業は少ないままです。
でも、これはチャンスです。少ないからこそ、いま取り入れることは大きな武器となり得ます。
アフターコロナとなり、訪日外国人がどんどん増えてきている昨今、世界基準の衛生管理を手に入れるということは、非常に大きな意味を持つことになるのです。
例えば、今ある商品を2倍作れるようにするだけでは、そこに革新性はありません。単なる増産でしかなく、対象となる補助金が無いのです。
しかし、最新の設備を導入することで、今まで手作業だった部分をオートメーション化した場合だとどうでしょうか。
オートメーション化という部分に革新性が認められるため、補助金の対象となる可能性が出てきます。
どちらも「増産が叶う」という点では同じなのですが、革新性が認められるか否かで補助金の対象となるかどうかが変わってくるという事例となります。
そこで、プラスアルファを考えてみましょう。
設備を導入する際、HACCPに則った製造環境を整えるとすればどうでしょうか。
輸出に対応することを指しますから、さらに補助金が得られる可能性が高まります。
海外進出を目指すには、設備更新や物づくりの環境を整えることが急務となります。しかし、しっかりと申請を行っていけば、補助金が得られる可能性は多分にあります。ぜひ検討していきましょう。
食品製造業者様は、もうすでに多くの商品をお持ちの状態です。
その商品が日本を飛び出し、他国で売れる姿を想像してみてください。
そしてこれは、何もない、ゼロから始める事業では無いということも知って欲しいと思います。
そう、既にある商品に、どんどんチャレンジをさせていくという事業です。
あなたは、手法を学べばいいのです。そして、ネットワークを作り、コミュニティを広げていく。すると、お手元にある商品が、日本だけでなく、海外にも向けられるようになります。
ほんのちょっと視野を広げることが、どのような展開を見せるのか、ぜひ考えてみて欲しいのです。
私のセミナーは、日本で成功を収め、そして次の舞台として海外に目を向けられ、チャレンジしたいという意思を強くお持ちの方に多くご参加頂いています。
本セミナーは、そのような方に、具体的な方法や手順をお知らせする内容です。
情報は無料です。情報を手に入れ、どう行動するのか。ご自身の糧とされ、進んでいけば、その先は大きく変わってくるかもしれません。
ぜひ、きっかけを、掴んで欲しいと思います。
日本の商品は、企業の作りたいものを作り販売するという、プロダクトアウトな傾向にあります。
これは、決して間違っている訳ではありませんが、世界市場に出る際には、売れるものを作るというマーケットインという考え方についても、目を向けてみて欲しいと思います。
プロダクトアウトは昨今のマーケティングの考え方に沿わない古い考え方だと言われることがあります。しかし、プロダクトアウトとマーケットイン、どちらが良い・悪いという類のものではなく、時と場合に応じ、どちらも正解となり得る考え方。
ただ、これまでプロダクトアウトしか知らなかった企業が、輸出を検討される際、その国に合わせていく、つまりはマーケットインしていくということが、結果的に商品磨きとなることも事実としてあります。
海外輸出が、国内での競争力向上にもひと役買うことは、決して少なくないのです。
今までの海外輸出は、大変難しいものでした。クローズドであり、情報がなく、知っている方だけの独占状態となっていたのです。
しかし現在、日本の食品は、輸出政策の後押しを受けています。
農林水産省のホームページでも紹介されていますし、ジェトロ(日本貿易振興機構)では無料の相談窓口も設けています。
また、GFP(グローバルフードプロジェクト)というサイトもお勧めです。
これは、農林水産物による食品輸出プロジェクト。会員になれば定期的に輸出促進策が得られますし、政府の施策などいち早く知ることにも繋がってきます。
あとは、「やろう!」という意識を持つだけ。
もう、準備は整えられているのです。
過去を知る方にとっては、海外輸出への挑戦はとても難しいことだと感じられるかもしれません。
しかし今、海外輸出はとてもスムーズに行えるよう、整えられています。
政府のサポートも行われていますし、補助金も得られるかもしれません。
そしてアフターコロナとなり、時期的にもチャレンジする良いタイミングとなってきました。
まずはセミナーにご参加頂き、具体的に海外輸出を考えてみるきっかけとしてはいかがでしょうか。
コンサルタントからの一言