【焼き肉店】値上げは行わず、顧客の単価アップを図る!

2021.10.01

福岡県古賀市にある、焼き肉店。精肉店が直営で行う焼肉居酒屋です。店主による精肉の目利きと、和食に精通した料理長の作り出すメニューは格別のおいしさ。気軽に味わえるラインナップから、おもてなしに使える高級な食材まで揃うのは、精肉店直営だからこそ。お客様のご要望にお応えすることも可能です。今後は、デリバリーにも力を入れていく予定。

【焼き肉店】値上げは行わず、顧客の単価アップを図る!

「集客」ではない売上アップとは?!

カスタマージャーニーを見据えた、工夫ある販売展開について

 以前もご相談頂きまして、引き続きのご相談となりました。
前回は、カスタマージャーニーマップを作成。利用者の動向や注文内容についての見える化を行いました。それにより、店舗の強みを改めて確認。焼肉のたれや鶏そぼろ等の商品開発を行うなど、その後の販売計画にご活用頂いていると伺っております。
 そして今回、改めてのご相談となるのですが、内容としては、さらなる販売展開と販路の開拓、売上アップの方法についてです。
営業形態としては焼肉をメインとした店舗で、併せてお酒やその他のお料理も提供、定評のあるお店です。売上アップを目指したいというご要望ですが、実は客数については一定の安定を見せていることから、単なる「集客」では成果を出すことは難しいと思われる店舗であるのが、今回のアドバイスのポイントだと言えます。
カスタマージャーニーを見据えた上での、工夫を凝らした販売展開が求められます。

現状 売上構成 焼肉:酒:唐揚げ=4:4:2
価格面:やや安価の設定
品質:和牛中心の希少部位についても取扱いあり
席数:カウンター10席/テーブル6席×3
客層:平日夜 会社員(男性)/週末 ファミリー
業種 飲食業

福岡県古賀市に店舗を構える焼き肉店は、精肉店が直営で行う焼肉居酒屋です。
精肉店歴10年を超える目利きある店主、そして、和食に精通した料理長が織りなす料理の数々には、定評があります。
お客様のご要望に合わせたメニューでの対応も可能。
気軽なお料理からおもてなしの逸品まで豊富に揃うのは、やはり精肉店直営だからこそ。
平均単価 780円
コロナへの対策 お昼の弁当など、デリバリーを考えている。

売上アップの方法について具体案を出していく

 売上をあげるためには、どのような業種においても方法は以下の3種類しかありません。

 

【単価のアップ】 【数量のアップ】 【回数のアップ】

 

しかし今回は、既に一定数の既存顧客があるため、数量のアップについてはあまり考えず、【単価】と【回数】に絞ってのご提案とさせて頂きました。

【単価のアップ】 【回数のアップ】、 この2パターンによる戦略とは

 さて、新規顧客の獲得ではなく、既存顧客に対する戦略を考えていきましょう。
まず、【単価のアップ】を行い、客単価を上げていきます。
そして、来店いただく機会を増やす仕掛けを作ることで【回数のアップ】を図り、年間を通したお一人の客単価の向上も狙います。
これにより、平日と週末に客層の相違があれど、どちらも取りこぼさない作戦となります。

 

【①効果的な単価のアップとは】

 単価のアップと言っても既存商品の値上げを行うわけではありません。既存商品の値上げにはイメージダウンの可能性があり、リスクを伴います。緊急事態であれば選択もあり得ますが、今回の状況においては不要です。
 そこで取り入れたいのが、プレミアム商品の投入です。現状、780円を平均単価とするメニュー構成となっていますが、そこへ一皿3000円程度の高額な商品を登場させていくのです。客層として、平日の夜は男性の会社員が多いことから、会社経費を用いる飲食の機会が見込めます。部署内の慰労会、取引先との食事会という場面において、プレミアム商品には利用価値があるわけです。必要性、存在意義、どれをとっても申し分のない新商品となり得ます。

 

【②効果的な回数のアップとは】

 焼肉を食べる機会を自然にアップさせる手法として、クーポン券の発行があります。クーポン券を貰った顧客はお得なクーポン券を使うべく、定期的にお店に足を運ぶことになるわけですが、その利用期限に仕掛けを作っていきましょう。
 一般的に、クーポン券の期限は「1か月」としていることが多いのですが、そうではなく、「25日間」への変更を行います。すると、「1か月に1回」の来店が、「25日間に1回」というローテーションとなり、結果的に年間の来店回数を、12回から13回へ自然にアップさせることが可能となります。
この仕掛けは、非常に重要です。

コロナ禍における、デリバリーの在り方について

 コロナ禍において、デリバリー需要は非常に大きな高まりを見せています。当該店舗におかれても、「昼弁当」を企画中とのこと。元々お持ちの設備やスタッフ、デリバリーノウハウを活かすことのできる販路開拓であり、伸びしろのある分野だと考えられます。
 反面、需要に伴い、供給もどんどん増えている状況であるため、競合がひしめき合うのは必至となるでしょう。であれば、そこに飛び込むのではなく、競合があまり手を出していない分野を先に開拓、有利な戦いに持ち込むべく、「夜弁当」のご提案を致しました。

 

【「昼弁当」 デリバリーパターン】

オーダーストップ:10時
配達:12時までに完了
対象:個人宅中心

 

【「夜弁当」 デリバリーパターン】

オーダーストップ:15時
配達:17時までに完了
対象:職場も含まれる

 

夜弁当であれば、弁当の注文と共に、アルコールやおつまみ等がオプション注文される可能性があります。また、配達ルートの効率化やおまとめでの注文も見込まれます。

キャッチフレーズを作る、強み

 カスタマージャーニーマップを意識し、考慮した上で、「キャッチフレーズを作ること」を最終のご提案とさせて頂きました。
キャッチフレーズがあると顧客の理解を得やすく、販促力が高まります。また、拡散にも効果を発揮しますので、既存顧客の購買意欲をかき立てる観点でも、新規顧客の獲得という面においても、おすすめできるものです。
ただし、キャッチフレーズの作成は簡単なことではありません。

 

 ・客層はどこにあるのか?

 ・何を売り込みたいのか?

 ・店舗の最大の魅力とは?

 

自らを知ること。目標を定めること。
その上で、テンポの良い言葉を作り出すことが大切です。

 

 「〇〇 × 〇〇 × 〇〇 といえば E店!」

 

のようなキャッチーさを店舗に付随させると、より良い結果が出せていくと思います。

 

コンサルタントからの一言

 一定数の顧客は既に獲得されておられる中での、さらなる展開を模索してのご相談です。つまり、第一の目標は新規顧客の獲得ではないため、販促活動の在り方としては、一般的なパターンと異なって参ります。そのための手法を、今回はご提示させて頂きました。

 夜の時間が活用できる店舗でありますので、プレミアムな価格帯のメニューの追加や、夜弁当のデリバリーなど、今後魅力的な商品の投入がどんどん行えることにビジネスチャンスがあると考えます。

 既にお持ちの設備、スタッフ、デリバリーのノウハウを最大限に活かし、まだ他店の参入が進まない分野での企画を遂行して欲しいと思います。