【販路開拓】闇雲に始める販路にメスを!3つの効果的な施策を身に付け新規事業成功へ

2023.09.13

企業様向け個別支援の事例として、BtoBからBtoCに向けた新規事業の「販路開拓」をしたい布団のリフォーム事業者様について話を聞きました。

【販路開拓】闇雲に始める販路にメスを!3つの効果的な施策を身に付け新規事業成功へ

基本的に私の立場・立ち位置は、事業者さんの多くが希望する販路開拓、売上の向上、集客の方法などのご支援となります。
「どうやったら集客できるのか」「どうやって売上を上げるのだろう」「他の人はどうしているんだろう」というお話を一緒にしながら、販促導線と呼ばれる図を一緒に描いていきますので、広告プランナーとも言えます。

会社とひと言で言っても色々な業種があり、販路開拓も様々となります。
数ある中で、最近のお話を例に挙げて説明したいと思います。

ご相談された事業者様を教えてください

その企業は、福岡の筑後地域にあり、布団のリフォーム、打ち直しをされています。商工会議所よりご紹介いただきました。お困りごとがあるとのことで、伺うことになったわけです。
その時の私は、正直、布団の打ち直しをあまり知りませんでしたので、「打ち直しより買った方がいいのでは?」とも思いながら、社長さんとお話させていただきました。

どのようなご相談内容でしたか?

この事業者さん、業歴は30年とのこと。
売り上げの100%が布団屋さんや量販店への販売という形式で、下請けと言いますか、BtoBとのことでした。その上で、販路開拓についてのご相談です。売上アップや集客、どうやって数字を上げればいいのか、というようなお話ですね。
BtoBは、今まで30年もずっとやってきたものの、コロナもあり、今後5年後10年後と見据えても減少傾向。業界全体を見ても、これからグーンと伸びる気配はないというところも含めて、今後の新しい事業、販路ということでBtoCを考え、一般のお客様に対し、直接『布団を打ち直ししてお返しする』という新しい事業を考えていきたいというご相談でした。

このように、具体的な内容が社長さんの中に「こうしようと思う」と確立していたものの、BtoCで、いきなり事業所の方が新しく一般の方に販路開拓と言っても、どうしたらいいのか分からないわけです。
同業の方にもご相談されたそうで、そこから得られた内容としては、30年という歴史を活用し、まずは地域の方に新聞の折り込みチラシや1軒1軒ポスティングするなどして、打ち直しのリフォームをやってますと地域密着型のアナログで宣伝をしていく方法であったり、一方では、ネットを活用して、一般客に対しネットで販売をしていく方法などを指南されたそうです。このことや、某ナントカ市場さんなどモール型のネットショップに参入することで販路開拓を伸ばしていきたいという案について、どう思うのかというのが、今回のご相談の内容となりました。

具体的に何をしましたか?

地域の方に対しての方法ということで考えると、ポスティングや新聞の折り込みチラシを活用して知っていただくのと同時に、店舗に来てもらうための看板設置も大切になります。
そして、やはり最近は、ネット活用も必須。お話の中では、モール型のネットショッピングという内容でお伺いしていましたが、それらは、正直やってみないと分からないという部分があります。やってみて、反応がいい方法、費用対効果の高いやり方を選んでいく必要がありますね。

看板について

では、掘り下げていきましょう。
地域の方々が、事業者さんのお店の前を頻繁に通られるような場所であれば効果的です。しかし実際は、奥まったところに事務所があり、看板は要らない状態だと判断できました。もし、国道や県道などに店舗が沿っているのであれば効果的だと言えますが、今回の場合は立地的なところを見て、どうなんだろうかと感じたのが1点、そして、工場という作り上、お客様を招き入れるステージにはなっておらず、環境的に大変そうだな、そこまですると大がかりになるなというのが一点、という感じです。

モール型について

ネットショップを自分で作ることとモール型に入ることの違いですが、アナログで例えるなら、前者はどこかの路面店で貸店舗を借りてやるという方法で、後者はゆめタウンやイオンモールといった中に入ってやるという違いになります。家賃であったり、店舗への手数料として売り上げの何%かを取られるといった違いが出てくるでしょう。もちろん、取られないこともありますし、集客力の強み・弱みもあり、それは調査が必要です。
自社のネットショップとモール型を比較すると、モール型の方が大勢のお客様がおられますから、集客的には安心だと言えます。反面、手数料等、色々掛かってくる金額が自社のネットショップよりも高くなりますので、そこら辺をどう調整していくかっていうところになってきます。
あと、モール型には客層があります。20代向けのモールなのか、30・40代のママさん向けのモールなのか、シニア向けのモール型なのかでも変わってきます。事業者様のお知り合いの方が既にやっておられるということで、ご自身もしようというのは確かに分かるのですが、そこを決定するよりも前に、まずは根っこの部分である分析をちゃんと行い、その結果を見て、やっぱりモール型が良い、いやチラシをしよう、という話になればいいと思っています。
これは、今回の事業者様に限らず、どの事業者様においても私が思うところです。

新聞の折り込みチラシについて

地域的にどんどんポスティングすればいいわけなんですが、ターゲットが不明確なままでは、コスト高になってしまいます。やはり、事前にターゲットを明確化しておくことは重要です。
費用対効果については先ほども言いましたが、まさにそこのところが私としてはクエスチョンだったので、チラシ、ポスティング、モール型と先に進むよりも、ターゲットが誰であるか、誰がお客さんになり得るのかについて、まずは調べていきましょうという話をいたしました。
今回の事業者様はお布団のリフォーム・打ち直しということで、シニアの女性、大体50・60・70代、そして80代の方くらいまでが、お問い合わせをいただくターゲット層となりました。その時代は婚礼布団というものがあり、結構高額な商品で、大切にされている方が多くおられます。しかし、使っていく中でへたってしまいますので、それを打ち直し、リフォームをしていきますという事業となるわけです。

ターゲットが決まったら「認知」

ターゲットが絞られたら、次に、お布団を紹介する、宣伝する、知ってもらうことについて考えていきます。どうやって宣伝するのかというのが、次の課題です。先程お話した折込かもしれませんし、ネットショップかもしれません。この認知の部分が2つ目となります。

注文された方に対して「アフターフォロー」

そして最後の3つ目です。
商品を知ってもらい、買うぞ、もしくは注文するぞというタイミングで、注文した後の方に対し、「またよろしくね」ということで行うアフターフォローの部分をどうやってするのかとなります。

以上、この3つが、メインと言えるでしょう。
とは言いながらも、3番については、1番2番がない限りあり得ない部分となります。なので、3番もとても大事ではあるのですが、今、事業者さんが販路開拓で困っている状態なのであれば、まず1番と2番を、さらに言うと1番に注力して、しっかりと時間をかけて決めていきましょうと言いたいです。1番が失敗してしまったら、3番なんて到底無いわけですから、当たり前ですね。
1番を失敗するということは、ラーメンを食べたい人に、カレーを食べませんかと言っているのと一緒のこと。布団が欲しいターゲットに対し、「布団が欲しい人ですか」という問いかけを行ってこそメインターゲットになり得ます。そしてその方に対して2番、どうやって伝えていくかというところを、費用対効果も含めてお話をしていくというのが販促導線であり、私がご提案させていただくこととなります。

事業者様の本当の課題とは?

実際に、事業者さんがやるということになれば、まずは、新聞の折り込みチラシやモール型ECという販促ツールの話ではなく、その前にターゲットを明確にして、どのように知ってもらうかが大事なことであり、その後に販促ツールがくるべきだと考えます。この一連の流れを『販促導線』と言うのですが、その販促導線を明確にしないと、売り上げアップや集客のアップに繋がりません。ラーメンが食べたい人にカレーを売っても売れないのと同じです。

私は、このお話をする際、いつも絵で書きながらお話をします。事業者様から矢印を書いて、このお客様と出会うには、どうすればいいでしょうか。ネットショップ・チラシ・ポスティングとしましょうか。プレスリリースにも色々ありますが、その場合はどう動きますか。……という具合です。絵にして、矢印を追加しながらお話をすることで、事業者様は想像ができるようになります。知りたい情報が紙の上で全て共有されるわけですから、「それ、コピーしてちょうだい」とよく言われます。

販促導線を明確にするというところが一番大事なのですが、ほとんどの事業者様が、「チラシをしたいけど」や「ホームページを作りたいけど」というお話、先ほどの2番の話ばかりをしてきます。「2番の効果的なやり方を教えて」という具合です。しかし、どんなに効果的な方法であっても、何よりもまず1番が明確になっていないと効果的ではないというのをお伝えしたいと思っています。ここが、本当の課題だと言えます。

ご提案により新しい事業はどうなりましたか?

では、先ほどの事業者様にお話を戻します。
1番は決まりましたので、2番の部分を考えていきます。アナログである新聞関係については費用対効果が薄いだろうと思われたため、ネットから着手しました。さらに、ネットとは言っても最初にお話したモール型ではなく、自社サイトとしました。今は、低コストで自社サイトを作ることが可能ですから、そういう意味もあって、ネットショップの構築としたわけです。

サイトを作った後は、ネット広告を活用しました。販路開拓とは、最初「これ」と決めても、その後ずっとやるということではありません。テストをしながらやってみて、効果があれば続けますし、効果がなければやめるということです。そこで、まずは一番わかりやすい王道の販路開拓として、ネットショップを作りました。同時に、ショップに流入させるためのインターネット広告もかけました。
販売の範囲についても、最初は全国を対象にせず、すぐ車で向かえる福岡県内から始め、そして九州一円、西日本、全国というような形で考えていきました。そうすることで、クレームがあった時にもすぐに対応が可能です。この状態で2~3か月ぐらいかけさせてもらった時に、反応がありました。広告費を掛けたところに対しての売上があがる、つまり費用対効果があるということですから、その後は西日本、そして全国と事業を展開していきました。
事業には、春夏秋冬における繁忙・期閑散期がありますから、ネット広告をかけたら分析を行うことも大切です。

この販路開拓が効果的なこともあって、事務所が手狭になったということで、引っ越すことになりました。とても近所ではあるのですが、大通りのところに移転となりました。これにより、最初にお話しした看板を立てるという条件が揃いましたので、地域の方に知って頂くためにと、看板の設置も行うこととなりました。
すると、近所の方が直接来られるようになったといいます。とてもいいことだと思います。

こちらの事業者様はネットショップもあるのですが、ネットで注文されるよりも、電話注文の方が多いというのが特徴となっています。というのも、ターゲット層としている年齢層が50・60・70代のシニア層女性ということで、お持ちの布団は婚礼布団で、何十万円という商品となります。それをリフォームするわけですから、単価も高くなってしまいます。そうした時に、ネットでは不安で、「本当にこのお店あるのかな?」という思考も働き、サイトはパッと見るけれども、とりあえず電話に、という注文の流れになっているように感じます。
そして、お電話を受けるのは、社長も含む職人さんです。オペレーターではありません。つまり、直接職人さんと話ができるということで、契約率はすごく高いと聞いています。また、お客様の声ですね、「ありがとう」というお手紙が返ってくるとも話されていました。
事業者様は、今までBtoBである卸業をやっておられました。専門用語が飛び交うような会話を、下請さんと元請さんでやっていたのが、今のお電話の相手はお客様なわけで、会話も接客用語でなければなりません。「それを勉強しなければ」と話されていました。

物事を進めることにおいて、やはり順番は一番大事な部分となります。まずは着手して、ダメだったらこれ、良かったら続ける、という形でやっていけばいいと思います。
結果的に、最初にお話した看板関係は後回しとなり、2、3回目にやり始めることになりましたので、販路開拓の手順としては逆になりました。

この事業者様は、今もずっと頑張っていらっしゃいます。これから先も、応援していきたいと思っています。

動画でもご覧いただけます