【販路開拓】商品単価を上げて売上1.5倍増!安易な単価UPではなく、購入シーン×購入価値の仕掛けづくりとは?

2023.12.20

企業様向け個別支援の事例として、単価アップの叶う「力ある商品」の作り方と魅せ方をご提案し、いちご農家を成功へ導かれた話を聞きました。

【販路開拓】商品単価を上げて売上1.5倍増!安易な単価UPではなく、購入シーン×購入価値の仕掛けづくりとは?

ご相談された事業者様を教えてください

私は主に、売上アップや、集客にお困りの事業者さまからのご相談をお受けしています。
今回ご紹介する事業者さまも同様で、10年ほどネットショップにて直販に取り組まれてきたそうなのですが、どうにも売り上げが芳しくなく、困り果ててのご相談でした。
事業者さまは、福岡県のいちご農園。“あまおう”といういちごを育てておられ、各バイヤーさんに卸業としていちごを卸されている一方で、ECサイトを立ち上げ、10年に渡って運営するもうまくいかず、販売と販路開拓の強化を求めておられる状態でした。

どのようなご相談内容でしたか?

今回、この事業者さまを結び付けたのは公的機関からのご紹介です。
実は、私とお話をするまでに3社にご相談されていたとのこと。10年に渡って結果の出ないネットショップをリニューアルするべくコンサルティングを依頼したものの結果は出ず、本当にお困りの様子でした。
公的機関にご相談され、その翌日には当社へ連絡がありましたから、そのスピード感からもひっ迫している状況が伝わりましたし、お話を伺っている間も事業者さまが涙ぐんでおられて、「本当に厳しいんです」という思いがひしひしと伝わってきたことを、今でもよく覚えています。
後に事業者さまから伺った話では、何度してもダメだということで、今回が最後という状態だったそうです。必死の思いで公的機関に相談し、その時の担当者が当社と引き合わせてくれ、現在の成功に繋げることができました。

具体的に何をしましたか?

お話をしていく中で私が気になったところは、【サイトにはどのような方が流入するのだろう】という点です。

 ・ いちごを購入するシーン
 ・ 購入する時のお客様の感情
 ・ 購入に至るまでの経緯
 ・ 購入後の満足度


これらポイントが不明のままでは、私のところへ相談に来られるまでの他業者さんによるリニューアル意図が掴めませんから、まずは、事業者さまへのヒアリングを行いました。
この現状把握は、私が必ず行うことです。同時に、ECサイトにおける一連のオペレーションについても、すべて確認を行います。
例えば、注文が入り、ありがとうのメールを送り、商品を梱包し、発送。そして、発送完了にて送られるメール、納品という流れですね。まずはお話を聞き、そして、お仕事中にお邪魔させて頂き、横から見て確認、担当スタッフにお話を聞いて確認というようにして、2日間ほどたっぷりと時間をかけて把握して参ります。
この事業者さまが、最初から最後までどのようにやっているのかを知ることが、アドバイスをしていく上で一番大切なことだと思っています。
そして分かったことは、こちらの事業者さまに3つの“強み”があるということでした。

1つ目の強み:社長

ある日お邪魔すると、机の上に大量の名刺が置いてありまして、その分量が「ここ2週間でお会いした社長さんの名刺」とおっしゃられるんですよね。これにはびっくりしました。
たった14日の間に、これだけの人と会うその行動力は素晴らしいです。
話を伺いますと、交流会や、経営者団体との異業種交流会にかなり参加されているとのこと。そういう場に積極的に出向き、名刺交換をしたということなんですね。
これまでに培ってきた人脈は、大きな強みだと感じました。

2つ目の強み:商品(いちご)

皆さんがスーパーで購入されるいちごは、いくら大きいと言っても、この事業者さまの商品程ではないと思います。というのも、この事業者さまのいちごは市販品の倍くらいの大きさで、テニスボールサイズなんです。
他社さんが「大きいです」と言って販売されているいちごよりさらに大きくて、テニスボール大というサイズ感のインパクトは物凄く、これも大きな強みだと感じました。

3つ目の強み:細部にまで管理の行き届いた配送

配送は、ネット販売をされている業者においては必要不可欠となる工程ですね。今回の商品は“いちご”ですから、ナマモノ。非常に難しいわけです。
例えば、「天地のみならず、左右にも動かさない」であるとか、「冷蔵車の内部において、エアコンが直接的に当たる場所には置かない」など、かなり難しいオペレーションが配送業者さんに求められ、それを理解してもらい、徹底して頂けるよう掛け合う必要があります。この点において、この事業者さまは既に行っておられ、現状、素晴らしい配送実績を手に入れているという状況にありました。
これは、大変難しいことです。潰れたり凍ったりなどがあると、それはクレームとなってしまいますが、だからこそ、徹底して管理を強化した本事業者さまにとっては、大きな強みとなります。
それを証拠に、この配送オペレーションについては、同業者も見学に来られているとのことでした。

ターゲット層とは?

次に、この商品を必要とする人がどこにいるのかを考えました。
この事業者さまのいちごはサイズがとても大きく、品質も高く、高級品です。事実、購入の理由として、ギフトが多いということが分かりました。
ギフトに求められる価値は、【いかにして、購入者の想いを贈り先へ伝えるか】。自分用ではないのですから、注文者とは異なる方が口にすることになります。つまり、大切にしたいのは、【注文した時の想いを、そのまま事業者さまが形にしてお届けできるか】ですから、付加価値となるサービスのひとつとして、お手紙を活用することにしました。
実は、事業者さまが筆文字アートを書かれる方なんですね。そのお力を活用し、「ありがとう」等の言葉を添えた商品展開に。
商品を手にした方は、箱を開けたと同時にそのお手紙が目に入る。真っ赤な美しい“いちご”と共に、「ワァ!!」と歓声が上がる、テンションが上がる商品としたわけです。

売上アップの手法とは?

ここで、原点の課題に戻ることになります。
事業者さまの目的は【売上アップ】です。
なので、様々に手を施そうにも、売り上げが上がらないのであれば意味がありません。これまでに話してきた現状把握や情報の共有といった事柄のすべてが、この課題に対するメスだと言えるでしょう。
そしてこれは、この事業者さまに限ったことではなく、どの場合であっても同じことなのですが、売上アップのためには、単価を上げる、もしくは購入数を増やすかしかありません。このふたつの掛け算になってくるわけですから。

そこで、単価を上げることに対し、今までにお話した強みや、事業者さまの人脈、そして、ギフトとして“いちご”が購入されているという事実に基づき、ちょっと驚くほど額を上乗せした単価アップをご提案しました。
もちろんこれには、裏付けがあります。購入者に経営者層が多いこと、ギフト購入が多いこと、そして、配送まで含めた高品質管理というのは代えがたい強みであること、クレームがほとんど無いという事実。これらを価値とすることで決めた単価となっています。

ブランディング

ブランディングはブランド強化とも言いますが、単価アップのためには欠かせない部分と言えます。
単価アップするためには、「この金額を払うだけの価値がある」と感じさせる仕掛けが必要です。
見目の良い木箱や布箱を用意し、使用するといったハード面を整えることにより、分かりやすい購入イメージを作りあげることも重要となるわけです。 そして並行して、購入数を上げる方法として、事業者さまの人脈の強さ、名刺交換しておられた方へのアフターフォローという部分も活用していくといいですよね。

お友だち登録=顧客数増加の仕掛け

今、SNSが流行っています。Facebookで繋がったり、SNSで交流を深めたり、お礼をメールで送るなど、多くの方が利用されていると思います。そこに、もう一つ、LINE公式アカウントの活用をお勧めし、見込み客数増加のための取り組みを行いました。
対象となるのは、この事業者さまを知らない方。
具体的な内容としては、LINE公式アカウントを活用して、「こんなすごい“いちご”があるよ」とお伝えするイベントを毎月開催します。その際にプレゼントを用意するわけですが、登録者が500人いたら5個、600人に増えたら6個とすることにより、既存フォロワーのお友だち登録も促すわけです。これは、登録することにより知ってもらうだけでなく、当選すれば食べてもらえますし、味わって知ってもらうことにもなるという仕掛けです。
お友だち登録が、未来の顧客数増加にも繋がる、見込めるということになります。 これにより、購入数を上げていくことができました。

売上アップはどうなりましたか?

当初、「単価をアップしましょう」とお伝えした時、事業者さまは、懸念を示されていました。この提案は、やはり不安だと思います。
でも、ただ単に上げる訳ではありません。単価アップと同時に、お客様へのアナウンス強化を行いました。顧客に対し、伝えるものはちゃんと伝えるという行動ですね。
結果、単価を上げる前と上げた後、顧客数は減りました。減りましたが、売り上げは1.5倍にまで増加したんです。これはつまり、ターゲット層を的確に見据えた結果だということが言えるでしょう。
想いも含め、購入する価値や購入するシーンをご提案し、丁寧に説明とお伝えをしていく。それに共感頂いた方が顧客となり、購入へと繋がる。その結果、売り上げが上がったわけです。
私が担当してからは、1年ほどで結果を出すことができました。

単価を上げることは、事業者さまにとって大きな不安です。今までのお客さまが逃げていく可能性を考えますから、当然ですね。
だからこそ、ターゲットを絞っていくことや、購入するシーンも含めてのご提案であること、そして、購入することの価値を購入者へきちんとお伝えしていくこと等を、事業者さまに丁寧にご説明する必要があります。
もちろん、どんな場合でも上げていいということではありません。これは、どの事業者にも合う方程式ではなく、事業の形態や商品、客層、全てコミコミで考えた上でのことで、ケースバイケースだと言えるでしょう。この事例を、そっくりそのまま違う事業者さまや違う業界で当てはめることは現実的では無いことを、付け加えておきたいと思います。

大事なことをまとめますと、以下の通り。

 ・ 現状を把握する
 ・ 事業者さまの強みを知る
 ・ ターゲット層を把握する
 ・ 商品の価値をプロデュースする

これらを徹底的に調べ、ヒアリングを行い、事業者さまとの情報共有も行ったからこそ、今回の事業者さまにぴったりと合った方法を選ぶことができ、対策へと繋がりました。
先に、現状の把握に2日間という多くの時間をかけたことの重要性を、きっとお分かり頂けたことと思います。

正直なところ、売上アップのためには、ツール云々を変えればいいという問題では無いのです。事業者さまの考え方やスタンスを丁寧にヒアリングし、想いを共有していくことこそ重要で、私はそこのところを大切にしています。
そして今回、ありがたく結果が出たということになりますね。

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