【持ち帰り・配達飲食サービス】高まる「おうちごはん」ニーズと健康志向に対応する新規需要の創出

2020.05.12

福岡市を中心に北九州市から久留米市にかけて福岡県内の企業等に日替わりオフィス用ランチ弁当・会議用弁当・仕出し弁当といった様々なお弁当をを製造し配達しているデリバリー中心の事業所。
食の不安が色々なところで聞かれる中、安心な食材の調達、お弁当加工場、 徹底した衛生管理に力を注ぎ日々努力し、販売食数は順調に伸び、現在では日配12,000食を超えている。
女性雇用で地域社会を元気にすべく、女性スタッフは従業員の9割を占める。仕事と子育ての両立が出来るよう従業員専用保育園を県内5カ所の営業所に併設。保育園を開設したことで40%を超えていた離職率がゼロとなり、社員、パート、管理職など関係なく笑顔のサイクルの職場づくりを社員全員で実行している会社である。また、地産地消で地元農家への応援などにも取り組んでいる。

【持ち帰り・配達飲食サービス】高まる「おうちごはん」ニーズと健康志向に対応する新規需要の創出

賞味期限と販売方法の難しさ、工場の空き時間の課題

生産性を向上させ、新たなニーズに応える商品づくりをしたい!

高齢化、ライフスタイルの変化、食の志向の多様化などによる健康・安全志向、簡便志向などの需要があり、特に、主食的調理食品の消費が増加しています。その中でも健康志向や安全志向の消費者ニーズは高い傾向にあります。

お弁当を生活習慣病患者や健康を意識される多くの方々に「食」を通じて「健康」を届けたいと、安心な食材の調達や徹底した衛生管理、管理栄養士による独自のメニュー作りなどに日々努めてきましたが、既存事業である日替わりオフィス用ランチ弁当だけでは、賞味期限の問題、宅配以外での販売が難しいこと、価格設定が安価ながら配達・容器回収コストもかかるなどの理由から、新商品開発に一歩踏み切れないでいました。

また、製造は深夜から早朝にかけての時間帯であり、工場に空き時間が生じていたのも課題でした。

 

現状 福岡県内の企業等にお弁当を製造し配達しているデリバリー中心の事業所。
販売食数は日配12,000食を超えている。女性雇用に積極的に取り組み、福利厚生も充実しており離職率ゼロ。
競合環境を踏まえ独自の付加価値を生み出す工夫に果敢に挑んでいる。
業種 お弁当の製造・デリバリー
お弁当を毎日楽しみにして下さるお客様にバリエーション豊かで、ほっと一息つける家庭の味を追求しています。
①九州産ヒノヒカリ米(主に佐賀県、福岡県産)を使用。
②人の手でお肉やお魚をカットする細かい作業が、真心を込めて作った料理だと考え、機械に頼れる作業でも、人の手で丁寧にカットする下処理工程。
③メニュー会議と独自調査により、他社と被らない毎日のオリジナルメニュー作り。
④包み揚げや唐揚げなど業務用を使用しない自社で行う手作りメニュー。
年商 10億円
企業規模 従業員200名

女性の社会進出を応援する会社だからできる新商品開発

「レストランなどお店で食べる食事=外食」と「家で作る食事=内食」の中間に位置する「調理済みの食品を買って食べる=中食」の市場調査を行うと、単身世帯・高齢者世帯の増加、女性の社会進出による家事の合理化などライフスタイルの変化、健康・安全志向、簡便志向などの需要により、主食的調理食品の消費が増加していることがわかりました。

こちらの会社は女性雇用に積極的であり、女性の活躍を応援することを理念に掲げていらっしゃいます。
従業員さんの9割が女性ということもあり、女性の社会進出や共働き世帯の増加等の背景による「調理に手間の掛からない商品」や、「内容量を減らした食べ切りタイプの商品」などの商品開発はマッチしています。

そこで、県内のデリバリー専門のお弁当屋さん同業他社との差別化をはかれる商品を作り、今までの当日配送のお弁当ではなく、賞味期限が保て配送・容器回収などの手間がない卸売の新たな販路開拓、そのために工場の稼働率を上げる設備導入のお手伝いをさせていただきました。

【手法】稼働率を高めるため工場の空き時間見直しと設備導入

お弁当は朝の配達時間には出来上がっていて、その時間以降は工場稼働に空きが生じているという課題を抱えていました。
工場の空き時間を見直し、稼働率を高めるために凍結庫などの設備を導入することで増産体制を整えらます。また、その設備で、独自の付加価値を生み出す商品を新しく作ることが可能になります。
そのほかにも、保管体制や食品表示法の変更点や衛生管理基準の制度などから設備導入をいたしました。

スーパーなど中食産業向け卸し事業を新たな販路とし、設備導入により可能となった「冷凍健康づくり弁当」と「冷凍健康総菜」の新商品開発もスタートしました。

かねてより栄養バランスのとれたレシピづくりには専門を持っていましたが、この新商品開発にも活かすことができました。

【効果】売上アップだけではなくて企業価値もあがった!

こちらの事業所は会社の理念の浸透ができており、女性の活躍を応援したい、食品の安全を守りたいと日ごろから理念に沿った考えをお持ちです。
新たな販路、新たな商品により売上アップだけにフォーカスしがちですが、この設備導入により、今年変更された食品表示法にも、衛生管理基準の制度化にも一歩進んだ対応をしていることは、他社と比べ商品の差別化だけでなく、企業価値が大きくあがったと考えます。

コンサルタントからの一言

社長のビジョン・理念に感動し、私自身がこの会社のファンになったところから始まりました。

会社の目指す将来像や、社員がどのようにあるかが明確であるため、そのためには今、何をすべきかが社員全体に理解を得やすいのだと思います。

お弁当の宅配は、一見ロスの多い事業に見えますが、社員さん一人一人の営業努力と経験によりロスは殆ど無いとのこと。日配数も大きく毎日がチャレンジだと感心します。

その中で、他社との差別化策として雇用のための保育園を含む福利厚生充実や、新規事業などに前向きに楽しんで果敢に挑んでらっしゃるので、こちらも明るく支援できました。

新型コロナウィルスの影響により、宅配や持ち帰りの中食のニーズはますます高まると思われますので、さらなる需要が期待できます。