変化する補助金要項に合わせながら、強みを活かせる新しい道筋を実現

2023.07.03

変化する補助金要項に合わせながら、強みを活かせる新しい道筋を実現

『建設業×補助金申請』について、中小企業診断士であり、経営コンサルタントでもある竹本誠さんにお話を伺いました。

今回お話頂ける補助金申請について、その概要を教えてください。

対象企業は、建設業を営まれている事業者様です。
ガーデンエクステリアの施工を手掛けておられ、ウッドデッキやタイニーハウス設置の他、おしゃれなエクステリア商品の販売など、お庭時間を楽しくするご提案を得意とする運営を行っておられます。
しかしながら、コロナ禍で被った売上の減少幅は大きく、打開策として、事業再構築補助金による、『実際に宿泊できる庭キャンプ体験場のオープンと、新たな顧客の獲得』に取り組むこととなりました。

 

キャンプ施設では、取り扱いの商品を使うことにより、既存事業のショールームとしての一面も確保することが可能です。
キャンプという、今までとは異なる新たな市場・客層の開拓を行いながら、既存事業の案内もできるという、とても理想的な活用事例だと思います。

事業再構築補助金は、どのような用途に使うことができるのでしょうか。

今回の対象企業の他に、以下のような用途でのご活用も応援いたしました。

 

・スポーツ教室を営む事業者による、保育園の設立
・飲食事業者による、ゴルフバー開店
・食品加工の手作業工程を、機械導入にて効率化。大量生産の実現

 

上2つは、事業内容的に思い切ったイメージとなりますが、3つ目については、規模的に思い切ったイメージになっていると言えます。ただ、”新事業”では無いですよね。実は、事業再構築補助金は、2021年の第1回公募以来、時代背景を踏まえて少しずつ要件が変わっています。
よって、上記3つの申請は、申請時の要件に当てはまっており、問題なく採択となっている事例です。

 

これまでにあった要件の変化を挙げますと、「最低金銀を上げること」や「コロナの他、原油高や材料費の高騰に困っている方も可」などがありました。
つまり、申請する際には、『今の時点の要項』をしっかりと把握することも非常に大切なこととなります。

 

〇 申し込み時の要件を把握する
〇 要件に合致する事業であること
〇 事業計画書において、合致していることを分かりやすく表現すること

 

これらを満たすことが、コンサルタントの使命です。
事業再構築補助金の採択は相対評価であるため、少し難しいと言えます。具体的で、積極的な内容、スピーディなスケジュールであることが求められます。
採択に結びつけるため、コンサルタントの力を活用して頂ければと思います。

申請に伴い、事業についての改善及び提案なども受けることは可能ですか。

可能です。
補助金を申請する際には、事業者様の強みだけでなく、弱みや環境変化についても客観的な視点で調査と整理をして参りますので、自ずと改善すべき点や伸ばすべき点が見えてきます。これらは、補助金事業とは直接関わらない部分とはなりますが、データとしては大変貴重であり、優れたものとなりますので、ご希望がありましたら各種データをご提供し、ご支援に活用していくことが可能です。

補助金申請時の経営状況は、どのような物であることが理想ですか。

実際のところ、お困りの状態となって、補助金を求められる方が多いです。当然と言えば当然のことなのですが、とはいえ、『ひっ迫した状況にまでなってしまうと申請は難しい』ということをお伝えしておきたいと思います。

 

と言いますのも、補助金の支払われるタイミングが後払いとなっているためです。
申請し、採択されれば、先に実行に移します。その際に必要となる費用は、100%自分の懐からとなりますので、足りない場合は金融機関に融資を依頼しなければなりません。補助金は、あとから戻ってくるというイメージです。
「採択されたら」という条件で、金融機関の融資約束を得ることは可能ですが、さすがにひっ迫している経営状態では融資は行われませんし、そもそも補助金についても、「絵に描いた餅になるかもしれない」と懸念されれば採択はされません。

 

『困ってはいるが、努力体制は整っている』という状況であることが大切なのです。

補助金申請までの工程を教えてください。

補助金の申請は、以下の流れで行っています。

 

① 事前ヒアリング
② 支援契約締結
③ 詳細ヒアリング
 ③-1 事業内容の確認
 ③-2 実施スケジュールと体制の確定
 ③-3 費用の積算、投資効果の検証
 ③-4 必要書類の確認
④ 事業計画書の完成
⑤ 申請

 

重視しているのは、ヒアリングです。
①の事前ヒアリングにおいては、要件を満たしているかなど概要の確認と、本当に事業の強みが活かせる新事業であるのかといった検討となります。
③の詳細ヒアリングでは、事業者様の頭の中にある計画を具現化し、共通認識としていきます。その上で、未検討部分はないか、必要な情報には何があるかなど、洗い出しと検証を行います。
事業計画書の作成は、ここまでやって、やっと出来る書類です。

 

今回は事業再構築補助金の活用ということで、既存事業とは異なる、新しい事業に取り組むことが求められてきます。
しかし、「思い切って新しいことを」とはいえ、既存事業とまったく関係のないことをしても先人が大きな壁となることは目に見えていますから、やはり、今までの経験や事業の強みを活かしながら、新しい道筋を示すことが重要だと言えます。
事業者様ご自身が興味のあること、且つ、今までやってきたことが活用できる新事業が示されましたら、各種検証を行い、実現可能性についてご提示しつつ、修正のご提案についても行って参ります。

事業再構築を考えている方へ、ひとことお願いします。

「事業再構築補助金が採択された後」の地図は、描けているでしょうか。
過去に、採択された事業様を見る限り、先の先まで見通せている方が多いと実感しています。
とはいえ、最初から完璧に出来上がっている人はおられません。皆さま、アウトラインだけのふわりとしたイメージを持って来られます。そのイメージを具現化し、文字や資料に落としていくことこそ、私の役目。

 

・開業の目途はいつを考えているか

・スタッフにアテはあるのか(採用か配置転換か)

 

などの問いを投げかけながら、事業者様の中にあるイメージを少しずつ固めていき、定まったところで文書化を行います。
常に、「認識が共通しているか」の確認を、丁寧に行いながら作業して参ります。新しい事業の実現を一緒に考えていきましょう。

編集後記

既存事業の停滞に困る建設業の事業者様へ、『事業再構築補助金を得た新事業開拓のご提案』を行う竹本さんに、お話を伺いました。
今回の事例では、新規事業ながら、既存事業の一翼も担える内容となっており、驚きました。無理なく実行できる新事業であれば、長く、そして既存事業をジャマすることなく運営できるかと思いますので、とても大きなメリットが得られると感じました。

コンサルタントからの一言

ものづくり補助金では対象が製造業であり、飲食店・サービス業における補助金申請が難しいことに懸念があったものの、事業再構築補助金により、飲食店・サービス業もカバーできるようになりました。お困りの事業者様には、どんどん手を挙げて欲しいと思っています。