年商約4.5億、従業員90名の、老舗タクシー会社。
ベテラン従業員に支えられ、固定客も多く、大変顧客評価の高い会社です。
今回ご紹介の企業は、県内タクシー業界において圧倒的な保有車両台数を誇る、老舗のタクシー会社です。
乗客サービスは好評。その上、いち早く車内広告や社内システムの整備を行うことによって効率化を図り、安定した収益性を確保してきた企業です。
また、関係会社である旅館業や観光業に関しても、インバウンドを契機とし、業績は順調に推移していました。
しかし、2020年2月、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、未曾有の業績低迷が始まります。
短期間で大幅な赤字を計上し、一気に債務超過に転落してしまったのです。
業界内は、相談主様に限らずどこも厳しい事態に陥り、タクシー業のみならず、旅館業や観光業も手広く経営していたことが、より大きな妨げに。すべての事業において固定費がのしかかり、利益を出しても圧迫してしまう事態へ。
赤字への転落後はなかなか経営改善が進まず、遅滞することとなりました。
現状 | コロナに苦しむタクシー業界 |
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業種 | タクシー運送業 |
年商 | 450,000千円 |
企業規模 | 従業員90名 |
金融機関からの紹介にて資金繰りの相談を受けたのは、2021年。最初の緊急事態宣言発令から、1年後のことでした。
それまでは内部留保によりなんとか乗り越えてこられたものの、次第に過剰債務が重くなり、いよいよ計画策定への必要性が感じられるとのことで、実行支援が開始されることとなりました。
私が最初に着手したのは、固定費の圧迫を取り除くことでした。
老舗の企業であるが故、諸会費や寄付、新聞図書費など、お付き合いで行われている事柄が非常に多くありましたので、媒体変更や退会を押し進めることにしたのです。
また、関係会社と重複している経営資源においては、売上に貢献できる部署への配置転換も行いました。
入れ替わりの激しい業界であるために、退職者が多いという実情。常に、多くの退職金が発生していました。
また深夜帯の出勤も多く、人件費の負担は大きなものに。
このような固定費の負担こそが、圧迫の要因のひとつでした。
そこで、固定費を減少させるべく、配置転換や給与規定の見直しを実施。外部環境の影響が加味された業績評価に変更し、公平性と透明性、納得性の高い給与規定としました。業績に応じた賃金制度への移行は不透明さを解消すると同時に、当面の収益確保にも繋がりました。
タクシー業界に革命を起こすと言われている配車アプリは、売上増加と経費削減を一気に行うことのできるツールです。これまでの配車プロセスや決済に関わる業務プロセスを見直し、BPRによって配車アプリに合った業務体制を構築しているところです。
今後、タクシー業界の競争はさらに激化すると見られます。しかしながら、配車アプリ内における差別化やサービスの均質化を図ることができれば、業績回復が期待できると考えています。
コンサルタントからの一言